島嶼‧地動‧重生:921地震十五周年特展

去年12月、台湾歴史博物館で1999年9月21日の震災をテーマにした展覧会「島嶼‧地動‧重生:921地震十五周年特展」をみた。あの震災から15年が経過したことで、現在はどのようになったのか、当時の映像や救助状況、遺族の写真、建築の破壊状況を平衡感覚を狂わせるようなスライドとともに展示するという内容。被災された方々が現在どうしているのかというモノクロの写真群がもっとも記憶に刻まれる。

『人間の条件』における「墓碑」

ハンナ・アレント『人間の条件』(ちくま学芸文庫)を読んでいると、プロローグでこんなくだりがある。

(1957年、スプトーニク1号が打ち上げられたあと)
「(前略)時の勢いにまかせてすぐに現われた反応は、「地球に縛りつけられている人間がようやく地球を脱出する第一歩」という信念であった。しかし、この奇妙な発言は、あるアメリカの報告者がうっかり口をすべらしたというものではなく、二十年以上前にロシアのある大科学者の墓碑名に刻まれた異常な言葉と期せずして呼応していたのである。そこにはこう書かれてあった。「人類は永遠に地球に拘束されたままではいないであろう」。(ちくま学芸文庫、10頁)

人と地球の関係が端的に示されており、まさにこの本にふさわしい幕開けといえるところだが、大事なところが隠されている。
それは、このロシアのある大科学者とは誰で、その墓というのは、どこにあるのかということである。そこで、上記の文章の後半部について、原文(second edition, Univ. of Chicago press, 1998)にはこう書かれている。

“And this strange statement, far from being the accidental slip of some American reporter, unwittingly echoed the extraordinary line which, more than twenty years ago, had been carved on the funeral obelisk for one of Russia’s great scientists: “Mankind will not remain bound to the earth forever.”

つまり、ロシアの有名な科学者の”funeral obelisk”には”Mankind will not remain bound to the earth forever.”と書かれてあるというわけだ。実際にはロシア語なのだろう。

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ハモンド『カメラ・オブスクラ年代記』

前ポストでは、カメラ・オブスクラ・ポータブルの制作について取り上げました。今日はこのカメラ・オブスクラに関する書籍として必須とされるジョン・H・ハモンド『カメラ・オブスクラ年代記』を読みました。

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これについては、すでにネット上で書評が出ています。とくに松岡正剛さんによる書評はカメラ・オブスクラの広がりを大いに含蓄した内容です。というか、これはあの千夜千冊の90夜なのですね。相当早い時期に取り上げられている本です。

この本は必ずしもハモンドの考えを記述したというよりは引用してきたり、調べてきたものを配列しているような感がぬぐいきれませんが、それでもなおカメラ・オブスクラという人の社会に緩やかに広がっていった技術がどういうものであったのかよくわかる本です。

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カメラ・オブスクラ・ポータブル

メディア論、視覚文化論、美術史、写真史について語るとき、どうしても外せない概念として「カメラ・オブスクラ」があります。かの名著ジョン・H・ハモンド『カメラ・オブスクラ年代記』が入口となる書籍といえますが、カメラ・オブスクラの構造を理解するならば、自分で作ってみるのが一番です。

自作については佐藤守弘先生のブログで紹介されています。これがもっとも簡単な方法といえるでしょう。実際、ここを参照する人は多く、わたしもそのひとりでした。
しかし、カメラ・オブスクラが大きくなると持ち運びが難しいという問題があります。かといって小さくするとあまり気分を味わえないという問題もあるように思われます。
そこで、このカメラ・オブスクラを他の場所で試したり紹介するために、持ち運びも簡単にできるタイプを制作してみました。
名付けて、プレイステーション・ポータブル(PSP)ならぬ、カメラ・オブスクラ・ポータブル(Camera Obscura Portable:COP)といえばいいでしょうか。

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ターナーと太陽

ジョナサン・クレーリー『観察者の系譜』の5章「視覚的=幻視的抽象化」に出てくる、ターナーの2枚の絵。これは太陽の観察とからめて出てくる。クレーリーによれば、ターナーと太陽の関係はよく知られているというのだが、実は、わたしはこの本でそういうことを知った。
この本で取りあげられる2枚の絵は図版として同書に収録されているのだが、モノクロで分かりにくい。なので、テートよりカラーをみてみたほうがいいと思う。

Artist:Joseph Mallord William Turner (1775‑1851)
Title:Light and Colour (Goethe’s Theory) – the Morning after the Deluge – Moses Writing the Book of Genesis
Date:exhibited 1843
Medium:Oil on canvas
Dimensionssupport: 787 x 787 mm
Collection:Tate
Acquisition:Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856
Reference:N00532

Artist:Joseph Mallord William Turner (1775‑1851)
Title:The Angel Standing in the Sun
Date:exhibited 1846
Medium:Oil on canvas
Dimensionssupport: 787 x 787 mm frame: 942 x 942 x 73 mm
Collection:Tate
Acquisition:Accepted by the nation as part of the Turner Bequest 1856
Reference:N00550

カメラを使わずに風景を撮る

Velodyne LIDARというものを使っている。レーザーを照射してその反射で周囲を形成するというものでコウモリやイルカがやっている方法に近い。

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This image released Thursday, Jan. 5, 2012, shows a page of an 1878 letter sent to his parents by Alexander Graham Bell. The drawing and accompanying discussion instructs how to ground the telephone Bell had invented. The letter is being auctioned by Amherst, N.H., dealer RRAuction.