長谷川 しかも『本屋風情』という名前を皮肉たっぷりにちょうだいするくらいだから、相当親しいわけです。もちろん岡茂雄さんは大変な南方ファンで、柳田さんとは不協和音があったわけです。それは『本屋風情』によく書かれています。結局、中山太郎さんが仲介して、『南方随筆』『続南方随筆』の二編を大正十五年に岡書院でお出しになったわけです。
中沢 それが例の中山太郎の「略伝」の問題とも絡んでくるわけですね。
長谷川 そうそう、「私の知ってゐる南方熊楠氏」。もっとも柳田先生の反応も少し異常なくらいで、大人げないですがね。
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