言語の保ち方
Posted on 2012/08/04
手話に限らない話だけれども、言語を学ぶには細く長く、息を続けるようにやらないと体にぴったりくっつかないものだ。そのなかでどうやってモチベーションを保つかというのがあると思う。
わたしの場合、読みたい本や論文があって、それがフランス語や英語だったので読みたいという気持ちでトライするのだけれども、しかし、そうでない場合はどうなのだろう。
例えば、あの人と話したいと思ったとき、暗闇で会話しなければならないときなど、人によって理由は様々だ。個人的な話であるけれども、わたしはある人に手話を覚えてほしいと願って、手話を一緒に学ぶような形で手話学習をはじめたことがある。
そのとき、わたしがお薦めしたいのは、木村・市田『はじめての手話―初歩からやさしく学べる手話の本』というもの。
ふつう、手話は指文字から手話を覚え始めるんだけれども、あいうえお・・・と機械的なことになりやすいのと、指文字に頼りがちな表現になるので、この本を採用した。挨拶の表現からしっかりとプログラムされている良書だと思う。
わたしは手話を3か月ぐらいで日常生活での表現を身につけたのだけど、そのとき気をつけたことといえば、人の手話を真似て盗むことだった。テキストと人の表現を同時に見て学ぶスタイルを採っていた。聾者というのも大いにあるのかもしれない。
これはわたしの経験。
さて本題。手話を学ぶうえでモチベーションをどう保つかということ。
わたしは必然的に手話をする立場になっているので、手話がまだまだの人に対してどうやっていけばよりよい環境が作れるのだろう?ということが気になって、Twitterでこのように聞いてみた。
【質問】耳の聞こえる方で、手話を学習したことのある方/学習している方に質問です。学習しているとき、なかなかモチベーションがあがらないことがあったとき、どうやって解決していましたか?
— sourd(すーう)さん (@sourd) 8月 4, 2012
@catfood_mami さんがRTしてくださったおかげでいろいろと意見をいただいた(ありがとうございます、@catfood_mami さん)
それで、回答はいくつかのパターンにまとめることができた。
1、目標をはっきり定める。
@sourd 初めまして、今手話を勉強中です。目標を決めるのも良いかと思います。始めたばかりなら先ずは指文字。以後は手話検定に合格出来るように少しずつとか。由来を知れば覚えやすかったり、手話が通じた時はモチベーションも上がります。
— スィーさん (@puyo21221) 8月 4, 2012
@sourd 手話検定受けるとか目標があると続くかも…
— しぇんふぁさん(Piano好き初級者)さん (@shengfa) 8月 4, 2012
手話検定が実例にあげられているが、これにこだわらず、ここまでできるようになる!というステップを持って取り組む方法。
2、聾者に会う
ろう者に会う“@catfood_mami: 誰か答えてあげてくださいませー RT @sourd: 【質問】耳の聞こえる方で、手話を学習したことのある方/学習している方に質問です。学習しているとき、なかなかモチベーションがあがらないことがあったとき、どうやって解決していましたか?”
— ちぃころさん (@smallgiraffe) 8月 4, 2012
@sourd 聞こえない人に会うのが一番ですかね。 あとは、手話を知らない人に簡単な手話教室を開くとか。 教えようとすると新たな疑問や学びたい気持ちが出てくる気がします。
— Takeaki Shionomeさん (@shionome) 8月 4, 2012
やる気は横において、とにかく学習会や行事に手話のある環境にむりやり出かけた。RT @sourd: 【質問】耳の聞こえる方で、手話を学習したことのある方/学習している方に質問です。学習しているとき、なかなかモチベーションがあがらないことがあったとき、どうやって解決していましたか?
— さくらぶ/桜麩さん (@azsakura39) 8月 4, 2012
@sourd 私の場合は、いらん不安とかもあるので、とにかくいやいやでも行ってしまうと、友達や仲間や知り合いに会って、手話ってるうちになんとなく気分が変わるということが多々あって。学習って考えると下がるから、誰ぞに会いにいくとか手話ってる人たちを見に行くとか、してた。今も。
— さくらぶ/桜麩さん (@azsakura39) 8月 4, 2012
理由として、手話を実際に目の当たりにして刺激を受けたいというのがあるのだろう。学習という場から離れて。
3、自分にご褒美を与える。
@sourd 私は常に「これが終わったら飲みに行く!」で現在も乗りきっています。
— アシタカさん (@naushikaitoko) 8月 4, 2012
なるほどね、トレーニングをしたあと、一杯あげることでモチベーションを保つという方法。これも大いにありうる。実際、わたしもそのようなことをすることがあった。
4、これまでを振り返る。
@sourd 最初に立ち戻って「ここまではできているじゃないか」を再確認しています。
— 桂木裕(かつらぎ・ゆう)さん (@mayakima) 8月 4, 2012
どこまでできるようになったか、確認することで自分の能力があがっていることによってより高みを目指して行くという考え。
5、単語をより深めていく。
私が手話勉強のモチベーション維持に使ったのは手話辞典でした。手話の語源を調べていると手話の深さがよく解ります。聾者にとっていかに手話が必要か痛感出来ました。 @sourd
— オブリガード はまさん (@obri_hama) 8月 4, 2012
@sourd 自分が覚えたい単語を調べまくる…かな…私は正確には難聴なのですけど
— マツユキさん (@c_matsuyuki) 8月 4, 2012
この回答はふたつの考えがあるだろう、ひとつは表現そのものの根拠を探る。もうひとつが覚えたい言葉があるのか、調べるというもの。つまり、単語の質と量をより鍛えていくというものになるだろう。どちらも重要なことである。
このようにモチベーションの保ち方は以下のように整理できるだろう。
1、目標を設定する
2、イベントに足を運ぶ
3、自分に褒美を与える
4、復習をする
5、ボキャブラリーの質と量を見直す
こうしてみると、手話に限った問題ではないことがわかるだろう。英語、フランス語、スペイン語・・・あらゆる言語において言えることなのだと思う。
それで、わたしが気になったのは、 @Zuraaaa さんのツイートで
@sourd 英語を1から勉強するようなものなので、やはり長期間使わないと忘れてしまいますよね・・・。相手の手話を読み取るのは出来るのですが、自分の中の手話の語彙が少なすぎて伝えるのが大変です。
— IKEさん (@Zuraaaa) 8月 4, 2012
「相手の手話を読み取るのは出来るのですが、自分の中の手話の語彙が少なすぎて伝えるのが大変」というところ。確かにこれは手話学習者のなかで起きうることなのではないかと感じるところ。読み取れても表現することができないという、インプットとアウトプットのバランスの悪さをどう補整していくのか、個人的に気になるところ。
もしわたしが受け手であれば、時間をかけてゆっくりやっていくのか・・・。
アウトプットをよりスムーズにしていくには、やっぱり生活のなかで取り組むしかないのだろうか。手話を使う/使わないのオンオフにもっとメリハリをつけるのか(例えば、1時間だけ手話しか考えない!)。
もちろん、手話はひとつの言語にすぎず、やや乱暴な言い方をすると、ひとがひとと繋がるためのひとつのチャンネルであるので、そのチャンネルをいかに強く、弱く相手に応じて意識しながら「柔らかな」コミュニケーションをしていくということがわたしに求められるように思える。
2012年 8月 04日(土) 22時48分11秒
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