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2009-03 journals

MATVEI PLATOV
2009-3-27(Vendredi)
最近、ある人から「自分のことで忙しそうなイメージ」と書かれたメールをもらった。
自分のために忙しい人間って僕からみて、最低だとおもう。いろんなことに義務や責任があるけど、それは自分のためなんじゃなくて、相手・まだ見ぬ誰かのためという意識がとても強い。なにしろ、その作業をやっているときは自分の身体のこと、すっかり忘れているのだから。
鎌田慧『自動車絶望工場』(1973)に「一本の鋼鉄製のコンベアに繋縛されて、ただそのスピードに自分のペースを合わせることだけ全精力を使い、自分のミスでは止めたくない、といった強迫観念に動かされている」とあるような社会で、毎日毎日、自分のための作業しか意識していないのなら、僕はロボットかベルトコンベアだよ。そんな人間になりたくない・・・。自分のために忙しい人間はごめんだ。
そんなふうに見られたなんて、反省だな。

NHKスペシャル「プーチンのロシア」をみる。
徴兵ではなく、志願兵のための将校学校のなかで、マトヴェイ・プラトフ将軍の銅像を飾り始めているという内容にふれてあった。プラトフはナポレオン戦争に参戦した帝政ロシアの将軍だが、昨今のロシアとNATOの微妙な関係(独立問題、ガス供給問題とか)を考えるととても象徴的なこと。歴史と時代・時間のなかでプラトフが引き出されている。つまり、ロシアに対する愛国心の表現として、プラトフの時間が引き合されている。銀行からお金をおろして使うのと似ているのかもしれない。さしずめ、銀行の名前は「歴史と時間の銀行」というのだろうか。

2009年 3月 27日(金) 19時54分20秒
己丑の年 弥生 二十七日 辛未の日
戌の刻 二つ

スペース・マップ・リピート
2009-3-22(Dimanche)
吉田茂旧邸が燃えてしまったというニュース。
二階から燃えたそうで、理由はわからないけれどとにかく残念。
磯崎新さんと御厨貴さんが建築と政治について対談していたのをおもしろく読んでいたし、最高裁と自民党本部を知人と見に行ったりしていた。
大磯は茅ヶ崎と小田原の中間で、吉田邸は大磯駅からちょっと歩くけど、海のすぐ目の前のすばらしいところにあった。すぐ目の前にある東海道は箱根駅伝のルートになっているから、知っている人も多いだろう。
明治14年に建築され、昭和になって同姓の吉田五十八が増築担当。周囲はかなり森に囲まれていて、外からすぐ建築をうかがうことはできない。吉田五十八が得意とする敷地。
建築物としてでもだが、とくに政治の「場」としての意味合いとして、いろいろなにか言及の対象になりうるものであったろうと思う。図面や写真はきっと多く残存していると思うので、それをもとにこれからの歴史家が考えていくのだろう。
御厨貴さんの著書で『オーラル・ヒストリー―現代史のための口述記録』という、インタビューの方法論がある。歴史をやる人なら、避けて通れないところだが、もし耳の聞こえない人にインタビューするならば、手話を記録するためにビデオ撮影しなければならないけれども。

散歩がてら静嘉堂文庫美術館にいく。裏道から行くとあんまり歩かないことに到着してから気付いた。裏道というのは、岡本民家園を右にいくルート。桜井小太郎設計の静嘉堂文庫はまだ中に入ったことは無いけども。ちなみに美術館で障害者手帳は使えない。
『古地図の楽しみ ―江戸時代の町を歩く―』をみる。
http://www.seikado.or.jp/sub0201.htm
あまり規模の大きくない展覧会だが、おもしろかった。とりわけ、江戸中期にかけての警護ルートが朱線で引かれているあたりは一筆書きでどうやって江戸という巨大都市を守っていくかということにあるんだけど、川沿いで両岸にある道を同時にみられるということに主眼があったようにみえる。
湯島聖堂をみると、当時からすでに「聖堂」と表記されているが、よくしられているように当時から御茶ノ水にあったのではなく、17世紀末に上野から移されている。
この展覧会のため、ではないけれどちょうど若林幹夫の『増補 地図の想像力』が出ていたので読んでいた。コロンブスやキャプテン・クック、メルカトルなど知っていることがほとんどだが、若林さんの紡ぎ方や考えをリピートしていくことは大切だ。ちなみに、メルカトルの息子、Remoldが出版した世界地図はBnFに。

2009年 3月 22日(日) 17時38分40秒
己丑の年 弥生 二十二日 丙寅の日
酉の刻 二つ

引越
2009-3-15(Dimanche)
引越が一段落。
これで終わり・・・とおもいきや、棚の整理がまだまだ。

ひさしぶりに友達とチャットしていたら、PGP使ってる?ってきかれて、なつかしいなと思ったけれど、ファイル暗号化ツールで世界的に有名なもの。大事なファイルはこれで暗号化して送受信している。
それで、GnuPGで新しい鍵を作りなおしました。このサイト用の公開鍵です。分かる人は登録よろしく。
PGPとの違いは以下参照。
http://hp.vector.co.jp/authors/VA019487/compare.html

-----BEGIN PGP PUBLIC KEY BLOCK-----

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Xfl4FoMHBTRywL2K1Lx1f2RUfYhwEUcqACztZU+pa+g3jDqYBLuwLT6yZggAxwt2
bfPq2PTY1w5um51UmSw9CotHzZ6Mmry4ztzRq9feCPcx0U9rLMhoLjV+TwCguUVr
G1rQ7bJxdFo4CLZOuo3wpRsD/2Erdh4U+6caC+g9+G3PmqYHsUuZbeYKYP7s7y1v
/KhlFxr2vaV2Hw23YYKZMJOYHYCnZH+Qev0iUqGuMojXDvosJxtWLbtdKPIG+m5N
H5+ycsGHByr2DVmqUUbbV4rTiz/BKH7llW36ySt7/OSTwiGYam3YTT/qtMWZXxx3
aTJBA/wNDTge0PcWfslw4DJCyaxYBZunpWvxtfnt6eD/W0VVQbKjRBjTW67rKMOi
d/A3EvBbEdoLLUiZ8GWrkZemWJXOwh6hOGE5z+4c3wPIim9iytRuysRAnn3qgoNT
U2Ary40kHZgkpwJwsWr102R+BHTq7LqKQJz3rwtMOQPX4zgVX7QcVE1US0tOU1Qg
PG1haWxAdG10a2tuc3QuY29tPohgBBMRAgAgBQJJvQ9WAhsjBgsJCAcDAgQVAggD
BBYCAwECHgECF4AACgkQKDl8KZ48UlzS4QCdFB9uTOGbLXT1KTUriL2qaP0w8boA
n25z/k4l9vV5dPsZpzkaeRm6/AG0uQENBEm9D1YQBADaIJyRBKTorgHdfWHK5gcx
Z9DiVCGNJsekBHG6pn0L2BB8fKGgk4g/YMvzVc1VpGwwDKw5lqeVgNE5f1U83zHI
Y0IccyJhn9L4q4PMQzwpvrqEtOZjjK2NaYt7T9yEkLW50ORrHMtcIxS5h5JKYzCe
ZSQL6gnMKdtuUO5Kh8UoPwADBwP7Bq7bbXMjmgRMUz1rJ/oUOQtCZBlxvMD4/H+X
p8MTtERTlHJqjUX8LRa+XBv62B/+RMX0YtOK+BeiIt3eVDOZPCio3QAr0R5LKKeN
MUbzlHcOA4NSt5Y3nwUnQgAr6g0FCaFxR6mOQodSjPo5kInqRdgJKT2YcrOZGm8t
j+P3bIiISQQYEQIACQUCSb0PVgIbDAAKCRAoOXwpnjxSXIJvAKCrwYHnFEMI8nB9
elOww+QFWvhBDwCfd1STDX6WtqrJlQ344VgY7fwt58k=
=TUY1
-----END PGP PUBLIC KEY BLOCK-----


2009年 3月 15日(日) 23時10分53秒
己丑の年 弥生 十五日 己未の日
子の刻 一つ

これは内緒です
2009-3-4(Mercredi)
ぼくがとても尊敬している先生のひとり、京大の岡田温司先生が先月、読売文学賞を受賞された。
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20090205bk06.htm
記念パーティの様子
http://heibonshatoday.blogspot.com/2009/02/60_19.html

受賞対象となったのが『フロイトのイタリア』で、本が出版された後に日記で先生から「今、フロイトのイタリアという本を書いています、これは内緒です。」と京都の居酒屋で飲んでいたときに突然筆談してくれたことを去年の6月に書いた。
http://www.tmtkknst.com/journals/bn2008_06.html
先生は夢中になっている、と書いていたように思うが、そんなに長い時間教わっているわけでもないので、「どうしてそんな大切なことを僕に教えてくれるんですか。」と思わず返したのを覚えている。
その理由はともかく、存じ上げている先生がニュースになるととても励みになる。

岡田先生で印象的なことに、ゴミを捨てるときの姿勢というのがある。
というのは、先生の研究室をはじめて訪問したとき、研究室に通されたんだけれど、他の院生も作業をしているところだった。
それで、部屋の隅にゴミ箱があって、ある院生がゴミを捨てていたところ突然先生が「違うよ!」と怒った。何に怒ったかというと、ペットボトルとかゴミの分別をしていなかったのだ(ゴミの分別はエコにならないという論説もあるけど、とりあえずここでは置いておく)。怒りながら先生はゴミ箱に手を突っ込んでゴミを出してご自分で丁寧に分別して入れていたんだけど、その情景がとても印象に残っている。ほかに印象的なことはいろいろあるけれど、別の顔というか・・・研究者以外の表情をはじめてみたような気もする。だから僕の脳裏にある岡田温司先生の鮮烈なイメージというと、ゴミ箱の前できちんと分別している姿なんだ。そのときなぜか、僕もこうありたいと思った。

岡田先生の「今、フロイトのイタリアという本を書いています、これは内緒です。」と書かれた紙、保管しているかなあ?捨ててしまっただろうか?


2009年 3月 04日(水) 19時56分23秒
己丑の年 弥生 四日 戊申の日
戌の刻 二つ

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