tomotake kinoshita old journals

 

2012-08 journals

画家のトリオ
2012-8-22(Mercredi)


横浜美術館にて。
左から村山槐多、恩地孝四郎、河野通勢。
いずれもいわずとしれたアーティストだけれども、彼らの自画像がこのように並べられるとちょっと胸が高鳴ってしまう。

絵というのは、ひとつひとつを見てゆくものではあるけれども、このように遠くから見つめるとまた別の光景が立ち上がってゆくのは、まさにこの美術館の重要な機能、「収集」「展示」が織りなしうるコンテクストになっている。たしかに、彼らの生没年をみると村山は1896 - 1919、恩地は1891 - 1955、河野は1895 - 1950となっていて、恩地が一番上、河野と村山は1つしか違わない。とはいえ、彼らの人生はあまりにも違いすぎた。
人生が出ているのだろうか、肌というか人の肉質そのものが浮いているような村山、パァっとカラフルな重層をみせる恩地、かっちりと落ち着いた河野。

わたしはしばらく彼らトリオの前に立っていた。

2012年 8月 22日(水) 23時55分23秒
壬辰の年(閏年) 葉月 二十二日 乙卯の日
子の刻 二つ

露出されるほのお
2012-8-18(Samedi)


京都・五山の送り火。
白い線は車が通ったあとで、「ああ、やっちゃった」って当時は思ったけれども、いまこうしてみると車が通ったという残滓があってそれがなんともいえない。
それに、先日タルコフスキー「鏡」で火事だ!という母の声とともに納屋が燃えてしまうシーンも思い出してしまう。



あの火事のほのおはきれいだったな。不謹慎にも。


2012年 8月 18日(土) 23時50分31秒
壬辰の年(閏年) 葉月 十八日 辛亥の日
子の刻 二つ

無機質な地獄
2012-8-9(Jeudi)


デンマークのゲーム制作スタジオが出した、"Limbo"というゲームをクリアした瞬間。
Limboについてはこちら(http://limbogame.org/

2D横スクロールアクションではあるが、アクションパズルといえばいいだろうか。使っているやり方は決して新しくないのに、とても新しいのはやはりモノクロという、ある種の憧憬のような技術を召喚させているからかもしれない。
それに、いろんなトラップ、蜘蛛や原住民(?)に襲われるシーンなどはモノクロになっているせいで余計想像力を引き立てる要素になっている。色がないぶん、「型」が浮き出るんだよね。なにか、人形劇をみているかのような、無機質な地獄のようにもみえる。


2012年 8月 09日(木) 23時17分45秒
壬辰の年(閏年) 葉月 九日 壬寅の日
子の刻 一つ

意識の伝播 ― 曾祖父母の写真
2012-8-5(Dimanche)


資料を整理していたら、祖父の結婚式写真が出てきた。
左から2人、3人目が祖母の両親と教えられている。つまり、わたしの祖母方の曾祖父母になる。お会いしたことはないので、教えられるまで曾祖父母とはわからないわけだ。要するに写真でしか知らない人で、どんな仕事をしていたのか、どんな人だったのか、知る人の回想によってしか知ることができない。

意識の伝播とでもいおうか、曾祖父母を知る人たちがわたしにその人柄、その容姿について話をすることによって、わたしが曾祖父母の存在を意識する。
この心のはたらき。わたしがその人を意識することで、その人のイメージが浮かびあがってくることは考えてみれば、とてもおもしろい。むろん、その意識の伝播が減衰しているから、わたしにとってはどういう人だったんだろうな、というのは感じる。その「減衰」弱まって行くこととはどういうことだろう、とこの写真を見ながら。


2012年 8月 05日(日) 22時54分57秒
壬辰の年(閏年) 葉月 五日 戊戌の日
亥の刻 四つ

溶ける風景
2012-8-4(Samedi)


香川県の金比羅に行くときの車窓から撮った一枚の写真。ISOやらシャッタースピードを思いっきり間違えていて、こんなふうに田んぼが光につつまれたかのようになっているけれど、本当に暑い日だった。風景が溶けている。

そういえば、高知から阿波池田を通っていったのだけど、このあいだに瀧の横に家があるような絶景を見ている。あれは何なのだろう。なんだあれは!と思いながら電車の窓にはりついたのを覚えている。

2012年 8月 05日(日) 00時11分24秒
壬辰の年(閏年) 葉月 五日 戊戌の日
子の刻 三つ

夏空の反対側
2012-8-2(Jeudi)


夏空をみていると、青というのがリンクされてくるのかあることをふっと思い出した。それは、今年の2月、豊島を訪問したときに豊島美術館に行ったのだけど、驚いたのは、バスを降りてすっと坂道を降りて行くところだった。というのも、この坂道をまっすぐ行くと目の前には瀬戸内海があって、まるでこの海につっこんでいくような感触に襲われた。
ひゃあ、あぶないなあ・・・って。
この風景はちょっと忘れることができないでいる。

2012年 8月 02日(木) 23時24分50秒
壬辰の年(閏年) 葉月 二日 乙未の日
子の刻 一つ

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