■ 絵画の向こう側に 2013-2-9(Samedi) 東京国立博物館の国宝室、雪舟「秋冬山水図」の前にきたところ、誰もいなかった。静かにひとり、雪舟と向き合う。 禿筆・・・すりきれた筆を使った表現があって、目の前にそびえる岩による構成、奥行きとの強烈な対比、雪(白)をよく残した樹木や蒸発した空気の感覚。 そういう雪舟の画法に対する知識も大切だけれども、何よりもこの存在を目の前にしたときに、国宝室という空間のなかにあるこの掛軸の先にはたしかに、雪舟が理想としたか、あるいは想像した秋と冬の風景が窓から除き見えるようなそんな感情に何よりもわたし自身、驚いたのがこの掛軸に対して抱いた最初の感情であった。 その感情はいまも変わることなく、掛軸の中廻と一文字が彩る黄土色がなんというか、雪舟の画とわたしたちの世界をなんとかつなぎとめようとしているかのように思えることもある。 個人的な感情だが、わたしにとって絵画というのは、わたしを向こうの世界に誘ってくれるものなのだろう。 2013年 2月 09日(土) 23時34分25秒 癸巳の年 如月 九日 丙午の日 子の刻 二つ |
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