美術/建築から映画をみる

ジュースキント『香水』の原作と映画について池上英洋先生( @hidehiroikegami  )とTwitterで話していたら、金沢百枝先生( @momokanazawa )からのリクエストで、建築に注目した映画の本は何があるのかというのがあった。少し長いので、Twitterではなくてここにまとめておきたい。それにしても池上先生はかなり映画が好きのようで、これはきっと素敵な仕事ができるんじゃないかと思う。

さて、美術/建築に注目した映画の本だけれども、まず一冊だけおすすめするなら?という条件であれば、わたしはこの本にしたい。

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これは旧版と新版がある。旧版のみ『世界の映画ロケ地大事典』として和訳が出ているが、よりアップデートされている新版をおすすめしておきたい。

映画は人によって思い入れが違うところがおもしろいところで、この本は辞書のようになっていて、映画タイトルごとにひけるようになっているところがおもしろいところ。

たとえば、ボリス・カーロフの名作「フランケンシュタイン」(1931)をひいておこう。

これをみると、村のセットはかの”all quiet on the western front”(『西部戦線異状なし』(1930))を使い回している・・・といったトリビアが書かれている。そして、怪物が少女を湖に投げ込むのはシェアウッド湖だという。

そう、このシーンだよね。場所はここのようだ。


大きな地図で見る

ちょっとした住宅地になっているようだ。こんなところであの怪奇映画を撮影していたなんて・・・。しかも、なんとなく特撮っぽい感じがあったのだけど、そうじゃなくて実存の場で撮影していたのか。そんなことは映画をみているだけではわからない。
ちなみに、この本はインデックスで地名から映画をひくこともできるので便利。

著者はかなりの映画マニアらしい。これが本人のサイトだと思う。

映画の場合、ロケ地から建築や関連する美術の事項を読むことが必要になるときがあれば、使える本だろう。といっても、最近はインターネットも便利で、IMDb.comも結構こまかい情報が入っているのであわせて見ておきたい。

パリやロンドンといった都市の通りまで着目した頁もこの本にあるけれど、他にも“On Location: Cities of the World in Film”も挙げられるだろう。ほか、建築史から映画をみたものといえば、五十嵐太郎先生の『映画的建築/建築的映画』がある。これは網羅的というよりは、ひとつひとつの映画に注目して絞って記述されている点に特徴がある。

他にもおすすめの本、データベースなどがあれば、ぜひ教えて下さい!
参考になれば幸いです。

2012年 8月 14日(火) 23時51分33秒
壬辰の年(閏年) 葉月 十四日 丁未の日
子の刻 二つ


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