美術品の盗難はいつの時代も所蔵者を悲しませる出来事であって、戻ってくるものも戻ってこないのもある。
さて、今回の新聞記事。「●美術の賊」という記事を紹介したい。京都の南禅寺には長谷川等伯など特級の障壁画を多数所蔵しているけれども、そのうち四枚折の屏風があるという、これは狩野元信が花鳥画、狩野探幽が金地に竹と虎を描いているというもの。記事をよむと、「四枚折の屏風あり一面は・・・一面は・・・両面とも頗る美事なるものなるが・・・」とあるから、四枚折の屏風の裏表に探幽4枚、と元信4枚の8枚があるというように読めてしまうが、どうだろう。もしそうだとしたら、すごいな。
さて、これが南禅寺の方丈に置かれていたのだけど、しかし泥棒が入ってしまい、それを持ち出そうとしたのを警備が認めて追いかけたところ、屏風は捨てられていて、肝心の画がすでにすべて持ち去られていたという。
それでやむをえず、他の画家によってこの屏風をもう一度仕立てる・・・という内容ではあるが、いやあ、元信と探幽に匹敵する屏風をつくるなんてとてもとても・・・。それから、元信(1476- 1559)と探幽(1602 – 1674)は生没年が完全にずれているので、この裏表の屏風は探幽存命中か没後に作られたものだ。
さて、問題はこの屏風はどうなったのか。見つかったのか、それとも現在にいたるまでどこかに埋もれているのか。あるいは消え失せてしまったのか。
2013年 4月 07日(日) 20時47分47秒
癸巳の年 卯月 七日 癸卯の日
戌の刻 四つ