11月9日に開催される表象文化論学会の研究集会において、わたしの発表概要は以下のようになります。学会のウェブサイトではまだ案内されていませんので、こちらにてお知らせさせて頂きます。
古代から現代にいたるまで、貧困、災害、戦災、疫病などの困難に面した人や地域には、宗教や政治経済のまなざしに基づいた慈恵活動が行われること がある。この活動に関する研究は、たとえば事業を行う主体と施設の形成、代表者の思想、主体と地域の関係性といったものが取り上げられるだろう。この慈恵 活動においてとりわけ重要なのは、ダイナミズム ― 運営主体のみならず、主体を支援したひとびとも含んだ活力の全体像である。
そ こで、本発表では明治初期の「楽善会(らくぜんかい)」を対象にそのダイナミズムを見いだしたい。楽善会は明治8年5月に、スコットランドの医師ヘン リー・フォールズ宅において中村正直(敬宇)、津田仙、岸田吟香ら6名のキリスト教信仰者による会合を始まりとする。その活動は、明治13年1月に築地で ジョサイア・コンドル設計による「訓盲院(くんもういん)」の開校につながり、盲人たちの自立を目指していくことになる。
ここでは、楽善会が明治9年から寄付金を募るために発行したパンフレット『楽善會慈惠方法』と1800件近くの寄付人リスト『楽 善會友慈惠金廣告』を中心に分析する。楽善会がどのようなメッセージで寄付を呼びかけ、集金したのかということからはじめ、楽善会の動きに呼応したひとび とたちの寄付金額、身分、職業、経歴、出身地といったプロソポグラフィを明らかにし、人物像を描き出すことで楽善会のダイナミズムを見いだす。
ちなみに、上の画像は、楽善会のメンバーであった岸田吟香(きしだ・ぎんこう)という人物です。大正期を代表する画家・岸田劉生の父といったほうがわかりやすいでしょう、ジャーナリストで実業家だった人物です。岸田はお金を集めるためにどのようなことをしたのか、それが明らかになるでしょう。
また、楽善会のパンフレット『楽善会慈恵方法』において、中野善達・加藤康昭による解釈に問題があることを指摘したことについては、先日書いた発表「楽善会と仏教」を確認してください。
どうぞよろしくお願い致します。
とても面白そうですね。当日は用事があって行けないのが残念です。ちょうど今日はフォールズに関わる講演を聞いてきたところでした。
Toshitaka Kumada liked this on Facebook.
Hiromi Kishi liked this on Facebook.
Masako Oya liked this on Facebook.
Motoko Kimura liked this on Facebook.
Noriko Yamada liked this on Facebook.
ようやく学会のウェブサイトでも発表概要が掲載されました。他のご発表もおもしろそうです。よろしくお願いします。
Yuco Fushimi liked this on Facebook.
Hiroshi Nimiya liked this on Facebook.
Kyoko Ozawa liked this on Facebook.
Takanari Fukuta liked this on Facebook.