悲しいお知らせ。
京都盲唖院を語るとき、欠かせない人に児玉兌三郎(たいさぶろう)がいます。児玉は聾として卒業し、教員にもなるのですが、知名度のわりには生涯が明らかではありませんでした。その児玉と交流をもっていたおばあさまがいることがわかり、すぐにかけつけて詳しいお話をきかせていただいたことがありました。きみよさんという。
児玉と会話をしたことがある、という経験は古文書など史料とは別の「ちから」があった。語りという「ちから」。きみよさんが児玉兌三郎のことをどんな人だと感じていたのか、どんな話し方をする人だったのか・・・史料からは分からないことを教えて頂いた。
きみよさんとわたし(2010年撮影)
あれから毎年年賀状を出し、近況報告をしあっていたのですが、今年は息子さんより返信があり、去年の9月に急に亡くなったと書かれていた。101歳。
児玉は戦中に亡くなっていることもあり、現在「児玉兌三郎と話したことがあり、しかもそれを明確に記憶している人」というと、他にどなたがいらっしゃるのだろう・・・。新聞を読むのが日課で、北朝鮮と日本の関係を心配していた。そんな世間話ももう聞かせてもらうこともできない。
あなたの言葉はたしかに受け取ることができた、あとはわたしが記録するだけだ。
きみよさん、ありがとう。さようなら。
またいつか、どこかで。
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