うまく動けない ― 今井俊介展(資生堂ギャラリー)

今井さんはインタビューでこんなことを言っていた。

たまたま知り合いの女の子が穿いているチェックのスカートが目に入った。チェックの模様がフワ~っと波打っていて「ああ綺麗だな……」と思ったんですよ。こ んなに綺麗な色と形があるんだから、自分で考えなくてもいいな、この模様をそのまま描いちゃえばいいや、と閃いたんです。

波打つスカート?なんというエロティックな・・・。そういう今井さんの作品を、資生堂ギャラリーにて見る。まず、驚いたのは蛍光灯を使っていたこと。スポットライトは使っていないようにみえた。あまり影をつくらない蛍光灯の面的な光によって、はじめて、資生堂ギャラリーの展示空間を認識できたような気もした。

階段を下りきって、今井さんの絵の前に立つ。メリハリの効いたストライプの旗をいろんな角度からみたようすを描いたものだという。
色彩が限定されているようにみえるのは、その旗をそもそも対象にしているからだけれども、不思議なものだよなあ・・・。その場からうまく動くことができない。手をひろげても包まれるぐらいのたっぷりとしたサイズ。側面からキャンバス地をみると、ピンと張っている。キャンバスがどうも張りすぎていると思ってきいてみると、木枠ではなくてパネルにキャンバスを張っているのだという。先ほどの面的な蛍光灯のライティングとも相まって、絵そのものが影をどこかに追いやっているようにも見えた。これほど影が感じられないのに、どこかに空間の裂け目がみえるのは、たぶんに、わたしが子供のときからみてきた紙芝居やテレビであったり、平面的なイメージのなかに、空間を創りだしてきたからだろう、頭のなかで。あるいは、何かが起きそうな期待。
そして、アクリルの明るいというよりはあまりにも強い色。目を動かすたびに、色が残像となって壁に、絵の他の地に浸食していく。だからなのか、わたしは動けなかったのかもしれない。
じっと息をひそめるように、自分の体を止めようとおもうが、でも止めることはできない。

(画像はCinra.netのインタビューより引用しました、問題があれば対応します)


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