雪ふかみ たはめど折れぬ 呉竹の 色やゆるがぬ 御代とこそしれ
この歌は、小杉あさという近代の静岡において東海訓盲院において活躍した盲人の女性が明治34年に歌ったもの。足立洋一郎さんが去年、静岡の盲教育史を扱った『愛盲』を出版されたのですが、このなかで小杉が扱われている。広瀬浩二郎さんの語りと交差するところかもしれない。去年の年末に広瀬浩二郎さんと伊藤亜紗さんと対談したものが伊藤さんのウェブサイトにアップされている。
前編:http://asaito.com/research/2015/01/post_21.php
後編:http://asaito.com/research/2015/02/post_22.php
後編で広瀬さんがかつて目がみえていたときに色について述懐するところがある。また個人的に広瀬さんが全盲になったあと、彼の文章のなかに人の身振りについて書いているところが不思議だったので尋ねたのだけれども、盲人が「色」「身振り」について語るところが興味深い。小杉の歌をみると、呉竹の色や・・・とまるで竹に雪が積もっている情景が見えているかのよう。塙保己一の視覚について論じた論文もあるし、盲人の視覚というのも今後のテーマになるだろう。
後日談になるけれども、わたしがギョッとして何も言えなかったところがあって。
広瀬 こちらこそ、楽しかったです。これだけ盲とろうの人がじっくり話しているのは貴重だと思いますよ。
広瀬さんはわたしの横にいるのに盲人と聾者はお互いの姿を認識できないくらい、あまりにも離れてしまっている。近代から今日までの時間の重みがずしりとのしかかってきたのであった。
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