20220104

1月4日。昨日の夜、風呂あがりに『ショア』の続きを見はじめるが30分もしないうちに瞼が重くなる。第一部の途中で、収容所に閉じ込められたユダヤ人だけでなくその家族も登場しており、ホロコーストが世代を超えて波及していることがすでに示されていた。起床すると白いカーテンを通り抜ける光がほんのりとしていた。年末年始にきていたメールといえば、毎朝配信されるニュースやネットオークションのアラートといった決まった時間の自動的、機械的なものしかなかったが、今日になって昨年末に出してあった電子メールの返信がメールボックスに少しずつ入ってくる。電子メールは不意なものだ、なんの前触れも予感もなくやってくる、遠近感がまったくない。よけいそう感じられるのは昨年、鴻池朋子さんと手紙のやり取りをしたとき、書いて封筒に包むことからポストへの投函、配達員で手から手にわたっていくところを感じていたからだろう。メールの画面に、未読のメールであることを示すボールドがかかっているところがランダムに積み立てられていくところをみると、今年というモーターが回り始めた振動として伝わってくる。このパソコンの画面やLANの向こう側にある手が、キーボードをタイプするときの振動や、メールを送ろうとする肉体の脈動のメロディーが、メールボックスをポップインするとき、この一年が音を立てて稼働していく。


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