1月21日。松濤美術館の「白井晟一入門」を訪れるために渋谷まで出かける。このころは天気がいいのに空気が冷たい。Youtubeで見かけたMCハマーのMVでのパワフルなダンスがかっこよく、その動きを真似して(ほんとうに真似!)ポカポカにしながら歩く。松濤美術館に行くときは東急本店にも寄るので、送迎バスに乗るのだけどバスがもうなくなっていた。踵を返して、109を目指して歩いていくとちょうどスクランブルの信号が青になったときで、待っていた人だかりがわあっと一斉に渡っていくのにつられて歩みを早める。スクランブルを渡り終えて、歩みを緩めたとき、「もう令和なんだ」という言葉が横切った。なぜだろう、とゆっくりした歩みを止めて辺りを見回す。若い人たちのファッションだろうか。アムラーのように平成の女性たちに流行した、長いブーツが再流行しているからだろうか。スマホをしている人がいるからだろうか。わたしはあたりを見回してみた。そこに入ってきたのは、渋谷スクランブルスクエアの広告だった。カーテンウォールのうねりを利用して、逆三角形の広告が点滅していた。そのシェープさ、鮮やかなカラーリング。しかし、先ほどのスクランブルはまったく変わっていない。変わっていった風景と変わらない風景が重なったところにわたしは立っていたのだった。
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