20220126

Posted on 2022/01/26

1月26日。学期末を迎えたもろもろの作業に集中しなければならず、執筆・読書をする余裕がとれずにいる。起床して着替えを終えたときにカーテンをあけて外の風景を見る。いつものことだ。住んでいる家は小高い丘の上に建てられたマンションで、街を見下ろせるロケーションなのだが、その風景には小さな窓の付いた、小さなアパートがある。その窓にはレースがかけられていて、夜遅くまで蛍光灯の白い光がレースの模様を写しだしていたので小さいながらも目立っていたのだった。その住人はサラリーマン風の男性で、夜遅くに帰ってくるのを一度だけ見かけたことがある。
今日、そのレースが取り外され、ガラス越しには暗くなっていた。引っ越したのだろうか。夜になって、洗濯物を取り込むためにベランダに出るとその窓の向こう側に男性がスマホを手に寝そべっているのがチラッと見えた。周りはダンボール箱がいくつか置いてあった。どうやら引っ越すらしい。洗濯物を取り終えた頃には、作業を再開するように箱の中に荷物を詰め込んでいた。それで思い出すのだが、その家には長い間、レースが取り付けられていなかった。夜にはパソコンのディスプレイから万華鏡のように色のパターンがカラカラとよく変化していて、アニメを鑑賞しているように見えた。雨の日のような視界の悪い日はぼんやりと窓が光を放っていた。ある日には、床が見えないほどのゴミが散らかっていることもあった。余裕のない日々だったのだろう。こうした窓にまつわる記憶はその人からもわたしからも消え失せてゆき、誰も見知らぬ出来事としてあの小さなガラスの表面にだけ刻まれていくのであろう。

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