2月8日。昨日の授業が終わり、空気が抜けそうになっている風船のように少ししぼんでしまっていた。人前に立つというのは、オンラインでは得られない張り詰めたものがある。時間と空間を共有しているだけでなく、授業を受けているみんなの目は瞳がぬめっていて、わたしが映る鏡となっているということだ。「鏡の中に火を見ることもできた。」(フォークナー『響きと怒り』) わたしが小学校のときに使っていた物差しにシルバーに光る象さんのシルエットがあって、そこに太陽の光が当たっていた。それを動かしていると反射する光が壁から黒板に移ろいてゆき、授業をしている先生の目に到着すると先生が眩しがって「木下くん!」と怒られた。あのようなことだ。あのような、火を向けられるような体験を教壇に立つときにいつも思う。
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