2月17日。無人島プロダクションで開催中の荒木悠さんの個展を訪問しようと思ったが、恵比寿映像祭がもうすぐ終わるということに気づいて、予定を変更する。この展示は毎年訪れているが、今回は近代の展示の密度が目を引いた。小原真史さんが担当された「スペクタクルの博覧会」で作品が楕円になるように集めて構成するところが目をひいた。テーマのスペクタクルは視覚文化論でかならず引き合いにされる言葉だけど、この展示ではむしろ、視覚的なるものよりもそのオブジェ性、肌触りといったものがあった。それはひとえに、印刷技術によるものでざらついた感のあるポストカードやツヤっとした写真の表面のことだ。
スペクタクル以後の展示では、ひらのりょうの《Krasue(ガスー)》がとてもよかった。現実はそんなものさというラストシーンがとくに。その瞬間、前の席に座っていた女性がビクッとして、肩まで伸びたうねった茶髪がグラッと揺れたのだった。
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