20220221

Posted on 2022/02/22

2月21日。大学に出かけて諸々の作業を進める。電車で向かう途中、わたしはツイッターでたまたま流れてきた「現金3400万円を残して孤独死した身元不明の女性、一体誰なのか」という記事を読んでいた。残された印鑑の姓が珍しく、身元が特定されたという内容で、幸せな時期もあっただろうと思う。その女性の人生を親族や知人が振り返ることで、ひとつの人生が記事に圧縮されていた。それを読んでいたとき、大倉山駅で向かいの電車とすれ違う。向かいの電車のステンレスに陽光が反射し、光が窓を超えてこちら側になだれ込んでくる。さらに車内の手すりのステンレスやディスプレイにも反射が乱舞していく。幾重にも電車のなかをキラキラ、カラカラと走り抜けていき、あっという間に消えた。そのとき、わたしにはあの光がその女性の人生を彼方に運んでいったようにも思えたのだった。わたしはブラウザを止めて、iPhoneをコートのポケットに入れて外の風景を眺めていた。

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