ミケランジェロ《ピエタ》におけるキリストは死んでいるのか?

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篠原治道『解剖学者がみたミケランジェロ』(2009)ではサン・ピエトロ大聖堂の《ピエタ》において、キリストは「死んでいるのか?」ということを論じているところも面白いところです。これを観察すると、右の膝から足首にかけて、筋のシルエットがみえるといいます。これは筋収縮によるものであるといいます。これは生存している人にみられます。
また、それはマリアの右手が「キリストの右の側胸部から腕にかけて脇の縁を豊かにたわませている」ところで、これほど豊かなたわみとなると、生存している可能性が高いとします。
また、「キリストの右手の甲には指の付け根から手首に向かって次第に粗くなっていく、菱形(りょうけい)をした静脈の網目が微妙に表現されている」といい、これが浮き出ているということは呼吸があるはずで、生きているはずだと結論づけます。このようにピエタを観察し、筋収縮、たわみ、静脈の3点でピエタは生きている、と篠原は考えているのです。

Scala miche

ミケランジェロが16歳のときに制作した《階段の聖母》(カーサ・ブオナロッティ、フィレンツェ)においては、右足に力が入っているところで、土踏まずの形からみて、マリアはこの場を立ち去ろうとしているところであることを指摘しています。

2013年 3月 20日(水) 22時40分08秒
癸巳の年 弥生 二十日 乙酉の日
亥の刻 四つ


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