カメラ・オブスクラ・ポータブル

メディア論、視覚文化論、美術史、写真史について語るとき、どうしても外せない概念として「カメラ・オブスクラ」があります。かの名著ジョン・H・ハモンド『カメラ・オブスクラ年代記』が入口となる書籍といえますが、カメラ・オブスクラの構造を理解するならば、自分で作ってみるのが一番です。

自作については佐藤守弘先生のブログで紹介されています。これがもっとも簡単な方法といえるでしょう。実際、ここを参照する人は多く、わたしもそのひとりでした。
しかし、カメラ・オブスクラが大きくなると持ち運びが難しいという問題があります。かといって小さくするとあまり気分を味わえないという問題もあるように思われます。
そこで、このカメラ・オブスクラを他の場所で試したり紹介するために、持ち運びも簡単にできるタイプを制作してみました。
名付けて、プレイステーション・ポータブル(PSP)ならぬ、カメラ・オブスクラ・ポータブル(Camera Obscura Portable:COP)といえばいいでしょうか。

このカメラ・オブスクラ・ポータブルの目的は以下のようになります。

・制作費を最低限に抑える。
・容易に入手できる材料で、誰でも簡単に作れる。
・トートバッグに入るサイズにおさめることができ、持ち運びが容易である。
・軽い。
・格納することも組み立てることも容易である。
・格納/組立状態であっても、乱暴に扱わないかぎり、壊れない強度を有する。

また、こんな人に向いていると思います。

・大きめのカメラ・オブスクラを作りたいが、置く場所を節約したい。
・講義などで紹介したり、街並みで体験してみたいが、持ち運びするのが大変だ。
・アタナシウス・キルヒャーやヨーハン・ザーンが携帯用のカメラ・オブスクラについて書いており、彼らのように「持ち運びできる」という気分を少しでも味わってみたい。

このニーズに応えるために制作してみたのが、カメラ・オブスクラ・ポータブルです。
以下の写真が、格納状態になります。

Th DSC 5104

カメラ・オブスクラ・ポータブルの全景(格納状態)

見た目は大変いまいちですが、一見したところ、アマゾンの箱にしか見えません。制作費を削るためにこのようになっています。
本体の段ボールはamazon.comの段ボールを使用しています(サイズは345×270×120mm)。また、蓋をおさえることと、レンズ部に穴があいており強度がよくないのを保護するために格納状態では段ボールで包んであります。ほんとうは留め紐シールを使うと見栄えはよりよくなるかと思いますが。
この本体の蓋をあけると、以下の写真のようにパーツが格納されています。

Th DSC 5108

蓋をあけたところ

格納するときはトレーシングペーパーの枠と虫眼鏡を保護するために上下にプチプチをはさんでいます。
以下の写真は各パーツを取り出したところです。各パーツについては以下のようになります。

・本体(各パーツを格納する箱)
・クッションとふたとレンズ部を保護する段ボール。
・手前にあるのはカメラ・オブスクラ本体を支える補強材4ヶ(後述します)
・虫眼鏡(ダイソーで買った105円の小さい虫眼鏡。直径8cm)
・トレーシングペーパーとその枠
・プチプチ(他の商品を購入したときについてきたもの)

Th DSC 5109

カメラ・オブスクラ・ポータブルのパーツ一覧

まず、虫眼鏡をカメラにとりつけます。わたしは以下のように工作しました。

Th DSC 5114

まず、本体の底を横にむけて、虫眼鏡を設置します。虫眼鏡の焦点と本体の合わせかたについては佐藤先生のブログを参照してください(ダイソーに売っている95mmの大きい虫眼鏡だとより大きな箱が必要になるかと思われます)。
さて上の写真をごらんいただくと、虫眼鏡に本棚が逆さまにうつっているのがみえます。この部分については、まず、段ボールの中心に虫眼鏡の直径と同じ穴をあけます。そして、虫眼鏡の取り外しができるよう、細長い段ボールを使って支えをつくりました。これは虫眼鏡が取り外せるようにするためです。
しかし、段ボールは蓋があって、パカッとあきますよね。この写真をみてもカメラ・オブスクラはその性質上、ある程度暗い空間が必要なので、この蓋のところをどうにかしないといけません。それで以下のパーツを使います。便宜上、補強材と呼ぶことにしましょう。

Th DSC 5134

この補強材は4つあり、そのうちの1つです。これは3枚の段ボールを使っています。そのうち2枚は細長く、1つは小さいもので2枚に挟まれる形で端に接着されています。接着剤は市販の木工ボンドを使用しました。
このパーツの角度は90度を保つように調整されています。接着剤でくっつけたあと、90度が保たれるようにしてください(机の端など直角になっているものにかぶせて固定するなど)。
要するに、2枚の細長い段ボールを折ることで角度をつけ、真ん中にある段ボールをサンドウィッチのように端にはりつけるよう作らなければいけません。これを本体にとりつけるとこのようになります。

注意:段ボールにもよりますが、このアマゾンの箱は一部だけ段ボールが2つに重なっているところがあるため、このとりつけるパーツもそこにあわせて厚みをもたせています。

この補強材をつくるときのポイントは外側の段ボールが内側の段ボールよりもほんの少し長くすることです。

なぜかというと、外/内側の段ボールを同じ長さにそろえるとかえって本体に差し込みにくいからです。外側だけ少し出しておけば、そこがツメになって本体の蓋にひっかかってスムーズに差し込みやすいのです(わたしはそう判断しましたが、内側が長くてもいいかもしれません)。

Th DSC 5116

補強材をとりつけたところ

Th DSC 5118

カメラ・オブスクラ・ポータブルの全景(組み立てた状態)

1A5って何を意味するのだろう。なんだかこのカメラ・オブスクラの製品番号のようにみえてきましたw それはともかくとして、裏側にとりつけるトレーシングペーパーのところは以下のようにやりました。

Th DSC 5126トレーシングペーパーの枠

これは、Amazon.co.jpに文庫本とか新書を頼んだときに届けられるピザの箱のような薄い段ボール箱がありますよね。その箱の底をくりぬいて、蓋を取り外しただけで枠ができます。そこにめいっぱいトレーシングペーパーを張ります(わたしはもともと建築系の出身でトレーシングペーパーをたくさんもっていましたので制作費に含んでいません)。2つの出っ張りはトレーシングペーパーを前後に動かしてピントをあわせるための取っ手です。
次に、このトレーシングペーパーの枠を本体にとりつけます。

Th DSC 5117トレーシングペーパーの枠を本体に差し込んだところ

Amazon.comとAmazon.co.jpの箱はサイズが合うものもあるようです。これで完成です、それでは実際にみてみましょう。

Th DSC 5125
実際に風景をみたところ

ごらんのとおり、奥にある本棚がみえますね。このカメラ・オブスクラ・ポータブルの各パーツを折りたたんで本体に格納すれば、トートバッグに入ります。

Th DSC 5131

単なる思いつきで作ったものなので、他にもきっとかっこよい作り方があるかとおもいます、ぜひ情報を頂けますと幸甚です。

2012年 9月 28日(金) 18時19分01秒
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酉の刻 三つ


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